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月並みな雑談 [村上春樹]

村上春樹さんの『意味がなければスイングはない』の
表紙は、ちょっとひっかかるものがある。

意味がなければスイングはない

本の帯びには、こんな素敵な文章がのっている。
 月が消え、恋人に去られ、犬に笑われても、
 なにがあろうと音楽だけは
 なくすわけにはいかない。




この文章の言葉遊びは楽しい。
"消える"という字には、"月"が隠れているし、
"笑う"という字も、俗説では竹かごをかぶった犬の姿だ。
"恋人に去られ"だって、言葉遊びかもしれないと思いたくなる。

しかし、言葉遊びだけでなく、その描かれている情景は、
一つの小説世界を彷彿させはしないだろうか?
例えば、『スプートニクの恋人』の様な。

 『スプートニクの恋人』といえば、
 その登場人物「すみれ」の名前について、発見したことがある。
 『すみれ』の学名のmandshurica は、
 『ねじまき鳥クロニクル』でも舞台となった『満州』という意味があるそうだ。

『意味がなければスイングはない』の表紙の画は、
Artemis Recoedsの『The Bach Guild』シリーズの
CDジャケットのイラストが使われている。
それは、多分、このイラストだと思うけど、色が違う。

『意味がなければスイングはない』の表紙には、
青色系の中間色が使われている。
バイオレット(http://www.colordic.org/colorsample/4174.html
菫色(すみれいろ http://www.colordic.org/colorsample/2047.html)
をベースに明度と彩度を変えていくと、それらしい色となる。 

なお、Artemis Recoedsの中に使われている"アルテミス"は、
ギリシア神話に登場する女神で、
セレーネと同じく月の女神として扱われることがあるらしい。

来月、種子島スペースセンターから打ち上げられる月周回衛星セレーネは、
「かぐや」という名前になった。
これにちなんで、月にまつわる詩が紹介されている。
http://www.jaxa.jp/countdown/f13/special/poetry_j.html

その第1回は、
Fly Me to the Moon(宇多田ヒカルも歌っているね)
と並んで、月夜の浜辺(中原中也)が紹介されている。

 月夜の晩に、ボタンが一つ
 波打際に、落ちてゐた。

で始まる詩で、教科書に出てきて好きだった詩だ。
先日、NHKで、「言葉で奏でる音楽~吉田秀和の軌跡~」
を見ていたら、音楽評論家の吉田秀和さんは、
中原中也にフランス語を習ったと言っていた。
吉田秀和さんは、中原中也と同時代の人だったんですね。
そして、小林秀雄さんのことなんかも、話していました。
歴史が脈々と繋がっていることに驚きました。

月にまつわる歌といえば、小沢健二さんがポンキッキーズで
歌っていた『オナラで月まで行けたらいいな』という、
思わず微笑みが浮かぶような曲があった。
ガスを放出して、その反発力で飛ぶというのが、ロケットの推進原理
なので、言いえて妙な歌詞だった。

良き音楽がある世界は、素晴らしい。
ただし、月に消えられるのも、恋人にさられるのも困る。
犬に笑われるのはかまわないが。


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コメント 5

Mercedes

素晴らしい記事ですね。深くて楽しくて。
村上春樹がまた好きになりました。
by Mercedes (2007-07-10 21:34) 

miron

☆lapisさん、nice!ありがとうございます。
 いつの間にか、最近もらったnice!に天使が4つ並んでいます。

☆Mercedesさん、コメントありがとう。
 いつも分かってもらって、多謝。
by miron (2007-07-11 20:41) 

sknys

mironさん、こんばんは。
『意味がなければスイングはない』は図書館から借りて読んだので、
腰巻きの文章は未見でした。
連想したのはマザー・グースの有名な唄。

えっさか ほいさ
ねこに バイオリン
めうしがつきを とびこえた
こいぬはそれみて おおわらい
そこでおさらはスプーンといっしょに おさらばさ
                    (谷川俊太郎・訳)

Hey diddle diddle,
The cat and the fiddle,
the cow jumped over the moon;
The little dog laughed
To see such sport, And the dish ran away with the spoon.

バイオリン(fiddle)、月(moon)、犬(dog)が入っています。
アナログ盤のことを「お皿」と言いますね。
日本だけの符牒(DJ用語?)かもしれませんが^^

「すみれ」が英訳本で何て訳されているか気になります。
「Violet」や「Pansy」ではなく、やっぱり「Sumire」でしょうか?
by sknys (2007-07-16 22:16) 

miron

☆sknysさん、すごいです。
そんな詩ありましたね!
本の帯びは、まさしく、この歌ですね。
マザー・グースとシェークスピアと聖書を
おさえておかなければいけない外国の文章みたいですね。
(ぼくはどれもあまり知らないので困ります。)

家にあったマザー・グースのうた
の絵本をみていたら、こんな月の歌もありました。
本の帯とは関係ありませんが、
地震があったり後だと、ちょっと心に響きます。

ぼくがつきをみると
つきがぼくをみる
かみさまつきをおまもりください
かみさまぼくをおまもりください
(谷川俊太郎・訳)

「すみれ」が英訳本で何なのかは、
暇な時に調べて見ます。
by miron (2007-07-17 21:31) 

miron

スプ恋の"すみれ"は英語では
そのままSumireの様です。
http://en.wikipedia.org/wiki/Sputnik_Sweetheart
英語版の表紙は色っぽい。
by miron (2007-09-01 19:35) 

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