サンタからの伝言 [小話]
これは、僕が子供の頃の不景気な年のクリスマスの話。
いつもの年だと、クリスマスが近づくと、
今年のサンタクロースのプレゼントは何だろう?
と、期待に胸を膨らますのだが、
その年は、今年はあまり期待はできないなぁと、
子供心に、分別のある判断をしていた。
いつもなら、サンタさんに何を頼むのか、
母さんに、さりげなく尋ねられたりするのだけれど、
その年は何も聞かれなかったからだ。
1週間ぐらい前になると、
母さんが、下駄箱の上に作りつけた物置から、
クリスマスツリーの入った箱を取り出してきて、
一緒に飾りつけをした。
枝を広げ、綿の雪を載せて、
天使や雪だるまやステッキのモールを取り付け、
ツリーの頭に金色に輝く星の飾りをつけた。
最後に、点滅をする小さな電飾を枝に巡らせて完成だった。
クリスマスツリーを居間に飾ると、気分は一気にクリスマスだった。
クリスマスイブの日、
いつもの年だと、母さんは、昼のあいだに、クリームを泡立て、
イチゴを沢山盛り付けたクリスマスケーキを作るのだけれど、
その年は、ケーキを作らなかった。
夕方になって、いつもより早く、父さんが仕事から帰ってきた。
手には、箱を持っていた。
「なに? その箱?」と僕は聞いた。
「今そこで、サンタクロースに逢ったんだ。
今年は行けないから、代わりに子供に渡してくれって。」
と、父さんが箱を手渡した。
「え?」っと僕は驚いて、
父さんがサンタクロースに会っている光景を想像した。
白い髭を生やした赤い服を着て、
赤い帽子をかぶったサンタのおじさんが、
近所の道端で、父さんを呼びとめて、箱を渡している様子を。
箱の中は、クリスマス・ケーキだった。
母のケーキとはちょっと違って、イチゴは少ないけど、
代わりに、チョコレートで作られた小屋と、
ちょっと、とぼけた顔のサンタクロースのロウソクがのっていた。
父さんが、サンタクロースに出会ったと僕に伝えたことの驚きは、
色々な意味で、今でもはっきりと覚えている。
クリスマスツリーと、サンタからプレゼントされたケーキがあって
部屋はとっても暖かだった。
それから、何年かして、
『大草原の小さな家』で、同じようなエピソードが出てきた。
(プレゼントを渡すように頼まれたのは、
正確には、父さんではなくて、
エドワードおじさんだったかも知れないけれど。)
世の中は景気が悪かったり、大雪が降ったりで、
サンタクロースは、来られない年だってある。
そんな時は、サンタクロースは、どうやら大人たちに、
今年は行けないという旨の伝言を伝えるようだ。
そして、子供は、驚きを持ってそれを受け止める力がある。
毎年じゃなければね。
いつもの年だと、クリスマスが近づくと、
今年のサンタクロースのプレゼントは何だろう?
と、期待に胸を膨らますのだが、
その年は、今年はあまり期待はできないなぁと、
子供心に、分別のある判断をしていた。
いつもなら、サンタさんに何を頼むのか、
母さんに、さりげなく尋ねられたりするのだけれど、
その年は何も聞かれなかったからだ。
1週間ぐらい前になると、
母さんが、下駄箱の上に作りつけた物置から、
クリスマスツリーの入った箱を取り出してきて、
一緒に飾りつけをした。
枝を広げ、綿の雪を載せて、
天使や雪だるまやステッキのモールを取り付け、
ツリーの頭に金色に輝く星の飾りをつけた。
最後に、点滅をする小さな電飾を枝に巡らせて完成だった。
クリスマスツリーを居間に飾ると、気分は一気にクリスマスだった。
クリスマスイブの日、
いつもの年だと、母さんは、昼のあいだに、クリームを泡立て、
イチゴを沢山盛り付けたクリスマスケーキを作るのだけれど、
その年は、ケーキを作らなかった。
夕方になって、いつもより早く、父さんが仕事から帰ってきた。
手には、箱を持っていた。
「なに? その箱?」と僕は聞いた。
「今そこで、サンタクロースに逢ったんだ。
今年は行けないから、代わりに子供に渡してくれって。」
と、父さんが箱を手渡した。
「え?」っと僕は驚いて、
父さんがサンタクロースに会っている光景を想像した。
白い髭を生やした赤い服を着て、
赤い帽子をかぶったサンタのおじさんが、
近所の道端で、父さんを呼びとめて、箱を渡している様子を。
箱の中は、クリスマス・ケーキだった。
母のケーキとはちょっと違って、イチゴは少ないけど、
代わりに、チョコレートで作られた小屋と、
ちょっと、とぼけた顔のサンタクロースのロウソクがのっていた。
父さんが、サンタクロースに出会ったと僕に伝えたことの驚きは、
色々な意味で、今でもはっきりと覚えている。
クリスマスツリーと、サンタからプレゼントされたケーキがあって
部屋はとっても暖かだった。
それから、何年かして、
『大草原の小さな家』で、同じようなエピソードが出てきた。
(プレゼントを渡すように頼まれたのは、
正確には、父さんではなくて、
エドワードおじさんだったかも知れないけれど。)
世の中は景気が悪かったり、大雪が降ったりで、
サンタクロースは、来られない年だってある。
そんな時は、サンタクロースは、どうやら大人たちに、
今年は行けないという旨の伝言を伝えるようだ。
そして、子供は、驚きを持ってそれを受け止める力がある。
毎年じゃなければね。
>いつもの年だと、母さんは、昼のあいだに、クリームを泡立て、
イチゴを沢山盛り付けたクリスマスケーキを作る
ケーキを作られたのですね。我が家でも母や姉達がケーキを一生懸命焼いたり、生クリームを載せたりしていましたが、味はいまひとつでした。その雰囲気がとても楽しかったのを覚えています。
by アヨアン・イゴカー (2008-12-21 19:41)
☆アヨアン・イゴカー 様、おはようございます。
母は今では、ケーキを作りませんが、
子供の頃は、誕生日やクリスマスには、
いつも、イチゴをたっぷり使ったケーキを焼いてくれていました。
>我が家でも母や姉達がケーキを一生懸命焼いたり、
>生クリームを載せたりしていましたが、味はいまひとつでした。
>その雰囲気がとても楽しかったのを覚えています。
その光景は、とても楽しそうですね。
今年のクリスマスでは、自分も楽しみながら、
子供たちに、その楽しさを伝えていければと思っております。
by miron (2008-12-22 08:31)
絵のような場面ですね?
私は全く違った雰囲気の中で育っているので、今でもそんな景色にはあこがれます。
なあたたかな楽しい思い出が沢山残っているのは宝の山を持っているというのと同じ事ですね。
by seedsbook (2008-12-22 18:50)
☆seedsbookさん、こんばんは。
本当ですね。親からプレゼントしてもらった思い出を、
大事にしていきたいと思います。
絵のような場面という、感じ方になるほどと思いました。
4番目の光も、光りましたね。よいクリスマスを
by miron (2008-12-23 20:26)