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続きはどうなるのか大変気になった夢 [小話]

昨夜は、複雑に(という程でもないが)ストーリーが絡んだ、
映画の様な夢を見ました。こんな内容でした。

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僕は街を歩いている。
チャイナタウンにさしかかる。
そこでは、大騒ぎが繰り広げられている
無茶苦茶な3人組みがいて、路上で暴れているのだ。
正確に言うと、1人は穏やかな僧で何もしていない。
この人は、とっても立派な人の様だ。
無茶苦茶なのは残りの2人の弟子たちだ。
屋台を壊したりして、暴れまわったりしている。
迷惑な弟子たちだ。
いったい何故暴れまわっているのだ?と僕は思う。

場面が変る。
僕は、オフィス街の石造りの銀行の前を歩いている。
蟹の形をした2匹のエイリアンが壁を這い、ごぞごぞと降りてくる。
オフィス街は大騒ぎになる。
僕は、あっけにとられてみている。逃げ惑う人ごみの中で
この2匹のエイリアンを使っている主人がいることに気づく。
威厳のあるギリシア人の様な人物だ。

次に僕は、洒落たレストランにいる。このレストランでも、
ドタバタしたバカ騒ぎが繰り広げられている。
2人のコメディアンが騒いでいる。
レストランの奥に目をやると、そこに、もの静かなシスターがいる。

ここで、僕は、この3つの騒ぎが、どれも同じ構図であることに気づく。
3つの騒ぎは、全て3人組みによって引き起こされている。
2人が騒いで、1人はその主人だ。

そして、僕は、突然理解する。
お互いにお互いを知らない3組が、
遠く離れた場所から、お互いに出会うために、この場所にやってきたのだ。

騒ぎは全て、3人の主人が出会うための目印だ。
これが、各弟子の2人が騒ぎを起こしている理由だ。
と、僕は夢の中で、理解する。

僧と、ギリシア人と、シスターが、出会うといったい何が起きるのだ?? 
一体化するのか? 僕は、興奮する。

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ここで、残念なことに目が覚めた。
続きが大変気になる夢だった。
ベルナルド・ベルトルッチの映画『リトル・ブッダ』の様な
不思議なオリエント・ティストの夢だった。

昨夜は、普段食べなれない高級チョコレートを食べて、
意識が活性化されていたのかもしれない。
クライマックスで目が覚めたのは、僕の無意識の想像力が限界で、
続きを思いつかなかったからだろう。


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風邪をひいた時の夢 [小話]

先週は風邪をひいて寝込んでしまい、ご無沙汰していました。
インフルエンザの予防接種をしていたので安心していたのですが、
普通の風邪にかかってしまったようです。
ちょっとお腹が痛かったので、胃腸風邪というものでしょうか。
さて、風邪をひいた時に見た夢がなかなか興味深いものだったので、紹介します。

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僕は、高層ビルの中にいた。
テロにより、ビルが崩壊することを僕は知っていた。
僕は、エレベータに乗り込み、1階を目指した。
しかし、エレベータは3階で止まった。
3階は、オフィスで、人々はいつもの様に仕事をしていた。
僕は、皆に、このビルは崩壊する!早く逃げて!と告げる。
そして階段を探すが、階段は見当たらない。
フロアーを彷徨い、とうとう、エスカレーターを発見する。
しかし、下りのエスカレータは無く、全て登りのエスカレーターなのだ。
僕は、2階に向けて、登ってくるエスカレータを駆け下りていく。
なかなか、降りれなくて、へとへとになりながらも、
何とか、1階まで降りることができた。
ビルの崩壊は近い。僕は、大急ぎで玄関を飛び出て、
ビルから遠く離れようと思う。
しかし、ビルから飛び出したところは、何故かロックフェラービルの
正面にあるような、スケートリンクだった。
足が滑って、前に進むことができない。
僕は、すてーんと転ぶ。その時、ビルが崩壊し、
爆風が煽られて、僕は氷の上を凄い勢いで滑っていく。。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ここで目が覚めた。
9.11のテロから8年という長い年月が経ち、テロに直接巻き込まれた訳でもないのに、
こんな夢を見たことに少し驚く。
テロや戦争に巻き込まれた人たちのトラウマはいかなる程なのだろうかと思う。
そして、この日、僕は発熱した。
3日間ばたんと寝込んだ後、今度は、こんな夢を見た。

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僕は子供と、三鷹のスタジオジブリ美術館を見学していた。
とても楽しい展示がいっぱいあって、
また、スタッフの人たちとの話もついつい弾んでいて、
時間が過ぎていくことをすっかり忘れていた。

気づくと、陽が落ち、夕闇が迫っていた。館内に人の気配も消えていた。
僕は、バスで遠くまで帰らなければならない。
急いで、子供の手をひいて、美術館を飛び出す。

着た時に通ったバス停からの道のりは、既に微かな記憶となっている。
その僅かな記憶を何とかたどって、僕は公園をつっきり、商店街を抜け、
ショッピングモールの中を走っていく。
バスが出発する時間は、もう過ぎてしまったことが僕には分かる。
だけど、子供には、あきらめた顔は見せない。
突然、視界が開け、見慣れた通りに出る。
そこにバス停がある。バス停の前には、
ずんぐりとして大柄なバスの添乗員が、僕らを待っている。
バス乗れますか?と僕は聞く。添乗員は、もちろんと、にっこりと頷く。
そこに、バスがやってくる。なんと、嬉しいことにネコバスだった!
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ここで、僕は目が覚める。開放的で、楽しい気持ちだった。
体中から汗が出ていた。
起き上がって汗を拭くと、とても清清しくなった。
すっかり熱はひいていた。


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サンタの探査2 [小話]

クリスマスの近づく夜に、山田クラウスは、家族と食卓についた。
9才になる息子クリスは、父に言った。
「今年、サンタは、何歳になっているかなぁ?」
クラウスは、ご飯をのどに詰まらせて、むせかえった。
去年のクリスマスの夜、
クリスはサンタクロースへのアンケートを枕元に置き、
サンタクロースの年齢を書いてもらっていた、ことを思い出したのだ。

「去年は何歳だったんだ?
 去年書いたもらったアンケートを見せてくれよ。」
とクラウスは息子に尋ねた。しかし、クリスは無情だった。
「内緒。パパには教えない。今年は、1歳ふえているはずだ。」

「そうとは限らない。サンタクロースは何人もいるんだ。
 去年家に来てくれたサンタは、別の地区の担当になって、
 今年は、違うサンタが来るかもしれない。」
クリスは、この言葉に不服そうに、ポツリとつぶやいた。
「でも、去年のサンタに、来てもらいたなぁ。」

ふと、クラウスは、サンタのアンケートについて、
サンタの探査  に書いたことを思い出した。そこには、年齢を書いておいたのだ!
そして、クリスマスの朝、アンケートの回答にびっくりするクリスの顔を、
思い浮かべて、にんまりした。

この物語は、以下の記事とシリーズです。
塔の上のクラウス  
サンタクロースへのニュース  


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獣(じゅう)の夢 [小話]

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ぼくは森の中にいた。麦わら帽子をかぶった父が一緒だった。
木がおいしげる小路に、座れるぐらいの石があり、父はそこに腰を下ろした。
そして、持っていたスケッチブックを広げて、ぼくに見せた。

そこには、ありえない形をした怪獣の姿が書かれていた。
「そんな怪獣はいないよ」と、ぼくは言った。
父はだまってページをめくった。
そこにも、星形を捻ったような怪獣の姿が書かれていた。
「そんな怪獣もいないよ」と、ぼくは言った。
父は次のページを開いた。
そこには、毛むくじゃらの巨人の姿が描かれていた。
「これならいそうだね。」と、ぼくが言うやいなや、
どこからか、ズトーン、ズトーンという足音が聞こえてきた。
森の中から巨人が近づいてくる。そして、同時に父の姿が消えた。
ぼくは怖くなって走り出す。森の中の崖をかけおりる。

視界がひらけ、目の前にキャンプ場があらわれる。
人々がパニックになって走り回っている。
叫び声が聞こえる。「こっちはダメだ!」「道は封鎖された!」
逃げ道はどこにもない。

パニックの中、ぼくは一軒のコテージに気づく。
このコテージには隠れる場所があるのをぼくは知っている。
和室の畳の下に、秘密のシェルターがあるのだ。
ぼくは、人々をコテージのシェルターに誘導する。
そして、入り口の上に畳を戻し、人の気配がないように気をつける。

そして、現状を把握するため、コテージの中のテレビをつける。
ニュース番組が始まる。
アナウンサーは、新総理が決まった事を告げる。
そして、いつもの様に国際ニュース、経済、社会の話題。
このキャンプ場に巨人が現われたニュースは報道されないのか
と、やきもきする。
その時、テレビにこのキャンプ場の映像が映る。アナウンサーは言う。
「キャンプ場で、集団催眠事件が発生しました。」
集団催眠事件? 催眠? ぼくは深い闇に落ちていく。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ここで、目が覚めました。
夢を見ていたというより、催眠術にかかっていた様な感じでした。
最近、『海馬』とか『数学的にありえない』とか、脳の中の不思議さをテーマ
にした本を立て続けに読んだので、こんなサイコ・サスペンス・チックな夢を
見たのかも知れません。


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iPhoneをめぐるクラウス家の会話 [小話]

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iPhoneの写真を物欲しそうに眺めているパパを見て、クリスが聞く。

クリス: iPhoneいつ買うの?
パパ : 安くなったら
クリス: いつ安くなるの?
パパ : みんなが持つようになったら
クリス: どうして安くなるの?
パパ : 最初は、高くても買う人がいるけど、
     そういう人が皆買っちゃったら、
     安くないと買わない人ばかりになるだろう。
     そういう人ばかりになると安くなるんだよ。
クリス: パパみたいな?
パパ : そう、パパみたいな。。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
今週、新しいiPodが発表されたら、
クラウス家では、またこんな会話が繰り返されることでしょう。

新聞で連載されている「ちびまる子ちゃん」の
友蔵と、まるちゃんの会話みたいに。

追記:この記事の後、9/5に刷新された新iPodシリーズの発表が行われました。
 そして、その発表の最後に、もう一つびっくりさせることがあるんだなぁという感じで、
 何故か突然、iPhoneの200ドルの値下げが発表された。
 クリスは、パパ安くなったよ、買おう!とつっこみを入れるのだろうか?
 どうするクラウス? 


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クリスからの手紙 [小話]

パパへ
いつも、ぼくは、なにもしなくても
いろいろなことをしてくれてありがとう。
これからも、自分で出来るところまではやるけれど
できたいところはやってね。
クリスより。


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落下する夢 [小話]

どうやら僕は、5月の終わりから6月にかけて、妙な夢を見る傾向にあるようだ。
昨晩、約1年ぶりに妙な夢を見た。
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ぼくは、9才の弟とふたりで、雪山にいた。
雪におおわれた細い道を歩いていた。片側は、深い崖だ。

道が、カーブにさしかかった所で、
突然、飛ばした車が後ろからやってきた。
道の端によける。
トヨタ・ランクルだと、認めた瞬間、
ぼくと弟は、はじきとばされる。
体は、崖を落ちていく。

僕の右手は、弟の手をしっかりと握り、
左手は、何かにひっかかることを願い、宙を探る。

左手は、がけの岩や、砂をかすめていく。
だいぶ落ちた所で、突然、左手が、木に挟まる。
落下が止まる。

ぼくは弟を見る。右手でしっかりと握った弟は、無事だ。
ぼくは、弟を地面にゆっくりと降ろす。

そして、「お兄ちゃんは、挟まって動けないから、
助けを呼んできてくれ」と頼む。

弟は、うんと頷いて、小さな体で、弾むように走り出す。愛しい姿だ。

やがて、弟が沢山の人を連れて戻ってくる。
弟が、僕の方に手を伸ばし「お兄ちゃんはあそこだよ」と言う。

そこで、僕の視点は、助けに来た人の視点に変る。
僕の方を見ると、そこには ただ木の葉が舞っているだけだった。

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ウォーキングをしていると、時々、乱暴な運転に、びくっとすることがある。
昨日は、交差点で、左折するプリウスに、子供が巻き込まれそうになるのを
目撃した。(何事もなく無事でしたが)
それで、こんな夢をみたのかな。


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サンタの探査 [小話]

山田クラウスには、クリスという8才になる息子がいる。
AP通信の調査によると、「サンタクロースの存在を信じるのは平均して8才まで」らしい。
8才、それは微妙な年齢だ。

クリスマスを前に、息子を連れてトイザらスに出かけた折に、
クラウスは、それとなく、息子に聞いてみた。
「クリスマス・プレゼントはどれがいい?」
「サンタクロースに頼んであるから、パパはいい。」とクリスは答えた。
「サンタには、何を頼んだんだ?」
「このゲーム」と、クリスは指差した。

クリスマス・イブの晩、クリスはなかなか寝なかった。
「早く寝ないとサンタは来ないぞ。」とクラウスは言った。
クリスは、ふとんの中にもぐり込み、必死に寝ようとし、そして寝息をたてていった。
やがて、真っ暗な部屋のドアが開き、懐中電灯を持ってサンタが現われた。

サンタは、クリスが欲しがっていたゲームの包みを、
枕元の靴下の上に置こうとして、
そこに、紙切れと赤色のペンが置いてあるのに気がついた。

懐中電灯で紙切れを照らすと、そこにはこう書いてあった。
「サンタさんへのアンケート。いつもプレゼントありがとう。
サンタさんは、なん才ですか。 名前はなんですか。 」
サンタはびっくりした。そして、すやすや眠るクリスの寝顔を見て、にっこりと微笑んだ。
懐中電灯で照らしながら、赤色のペンで、サンタは流暢にくずした文字で回答を書いた。
「86、Santa Claus」

翌日、クリスは起きると、真っ先に枕元を見て、わぁ!と、大きな声を上げた。
そして、急いで包みを開けてゲームを見つけると、これが欲しかったんだよなぁと言った。
ご機嫌なクリスに、クラウスと妻が、何をもらったんだと聞いていると、
電話が鳴った。クリスは、飛びつくように、すぐに電話をとった。
「トム? サンタ来た?」 友達のトムからの様だった。
「オレはゲーム。お前は何もらった?」
プレゼントの確認が済むと、クリスは、トムに聞いた。
「アンケート書いてあった? 何才だった?」


夢の様な夢 [小話]

「夢の様な夢」、それは変な言い方である。
夢なんだから夢に決まっているのに、
あえて夢の様だと形容しているから。
しかし、『夢の様』という形容で使われる『夢』が
心の中の願望をあらわしていれば、この表現は有りである。

クラウスは、昨晩まさに「夢の様な夢」を見た。
こんな夢である。

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クラウスは、薄暗く、背の高い本棚並ぶ図書館で、
古い物語を読んでいた。
たまに夢に見る、夢の中の図書館である。

背後に何か気配を感じたクラウスが、振り向くと、
そこに、絶世の美女が立っていた。
美女は、何も言わず、クラウスを抱きかかえた。
クラウスは、背中に暖かくて柔らかい感触を感じる。
そして、クラウスの体は、ふわりと浮き上がる。

クラウスの体は、図書館の机から離れて、空中に浮かぶ。
クラウスの顔には、微笑みがこぼれる。
絶世の美女は、天使であり、
彼は天使に抱かれて浮かんでいるのだから。

天使に抱かれてクラウスは、図書館の外に出る。
コンビニエンス・ストアーの上空を通過し、
ファミリー・レストランの看板の上をかすめ、
町の景色が流れていく。

クラウスは景色をもっと良く眺めようとする。
すると、飛ぶ速度がどんどん遅くなり、先に進まなくなる。
このままでは、落ちてしまう。

クラウスは、ちょっと先の景色を見るようにする。
すると、速度が速くなり、見たちょっと先の所まで飛んでいく。
クラウスは、先を、もっと先の景色を見れば良いのだと気づく。

遠くを見れば見るほど、天使は速く飛んでくれる。
クラウスは、遠くを、さらに遠くを見る。

天使に抱かれたクラウスは、山岳地帯までやって来た。
森を超え、小さな山々を超えて、彼は飛ぶ。
そして、その突き当たりにやってきた。
そこが世界の果てであるか様に、
ギアナ高地のテーブル・マウンテンを
数倍したかの様な、岩壁の絶壁がそびえていた。

クラウスは、はるか上空の、そこにあるはずの頂を見上げる。
天使は、全て分かっているかの様に、
クラウスをふわりと持ち上げて、
岩壁に沿って、真上に、真上に飛んでいく。

そして、山の頂までやって来た。
世界の全てが見渡せる特別な場所だ。
そして、そこは平らな場所で、大きなプールの様な泉があった。
その泉には、十人以上の女神たちが、水浴びをしていた。
どの女神たちもとても美しい。クラウスはうっとりする。
天使は、クラウスをそっと泉の中に降ろした。

クラウスの前には、白い髭を蓄えた裸の男が一人いた。
男は、ガッシリした堂々たる体つきではあるのだが、
もうかなりの年のようだった。
そして、何だかとても神聖で、近づき難い雰囲気を醸し出していた。
この場所にいる男は、この男だけのようだった。

その男はクラウスに言った。
「私はもう老いた。君が後を継ぐのだ。」
同時に、男の姿が消える。

クラウスは泉に残される。
裸の女神たちが、いっせいにクラウスに押し寄せてくる。。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ここで、目が覚めた。
覚めて良かったのか、覚めなければ良かったのか、
クラウスは困惑した。
しかし、何だか幸せな、特別な気分になっていた。
そして、この夢を忘れないように、
その後は、眠ってしまわないように気をつけた。

朝、クラウスは、朝食を食べながら、妻にこの夢の話をした。
妻は面白そうにこの話を聞いていた。
クラウスは、「この夢どう思う?」と聞いた。
「欲求不満なんじゃないの。」と妻は答えた。
欲求不満???
クラウスは、この言葉を頭の中で反芻した。
そんな夢じゃないと思う。
しかし、いや、そうなのか?
クラウスは、夢が本当にさめてしまったことを感じていた。


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とんだ夢 [小話]

僕の名は、山田クラウス。今年で30才になる。
幼い息子が一人いる。
疲れ果てて眠った夜には、忘れられない夢を見る。
昨夜も変な夢を見た。こんな夢である。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
僕は、息子と川で遊んでいた。
清流流れる川で、竹で組んだ広い「いかだ」の上で、
じゃぶじゃぶと水を浴びて遊んでいた。

日差しがとても暑かったので、僕も息子も、
シャツを脱ぎ、ズボンを脱ぎ、
パンツ一丁となって遊んでいた。

「いかだ」の上で、息子がはしゃいで、ジャンプをした。
「いかだ」は、ばしゃばしゃと上下に揺れて、水しぶきがキラキラとあがった。
きゃははと大喜びの息子は、はしゃいで走り周り、
さらに勢いをつけてジャンプした。

「いかだ」が、ゆらっと大きくゆれて、ゆっくりと回転を始めた。
僕は、あっ!と叫ぶ。
「いかだ」を陸と固定していた紐が切れたのだ。

僕と息子を乗せた「いかだ」は川を下り始めた。
「いかだ」は、回転しながら水に流され、次第に加速していった。
やがて急流を下りはじめた「いかだ」は、突然宙に投げ出された。
「いかだ」は、風を受けた翼となり、そのまま空を飛び続ける。

「いかだ」はどこまでも飛んでいく。
流れる景色を眺めながら、僕は落ち着かない。
僕は、「いかだ」がバランスを崩さないように注意しながら、
あることを考えていた。
それは、どうやって安全に着水させるかということだ。
そして、ふと昔読んだ絵本で見た方法を思い出した。

僕は息子に、右の端を巻き取るように指示をする。
(この時には、「いかだ」は空飛ぶじゅうたんになっていたのだ)
僕は「いかだ」の左の端を巻き取る。 
翼の面積が減った「いかだ」は、徐々に高度を下げていく。
「いかだ」は川面に近づくと、ふわっと持ち上がり、
やわらかく川に着水した。

僕は息子と「いかだ」を降りた。
川の土手に下りて、周りを見渡した。
随分遠くまで来てしまったようである。
そこは、まったく見覚えの無い町であった。

町の中に入ると、青い目のロシア人が沢山いた。
ロシア語でにやにや笑って話かけてくるが、
何を言っているのかさっぱり分からない。

僕は息子と、町のホテルに入っていく。
寒くて震えている息子に、僕は持っていた自分のシャツで、
体をふいてやり、堅くしぼって、だぶだぶのシャツを着せた。
僕自身は、あいかわらず、びしょびしょのパンツ一丁で、
宴会場に入っていった。

そこには、タキシードを着た怪しげなマフィアの一群が、
横一列に座っていた。
そして、その真ん中に僕の古くからの友人の「渡辺謙」が座っていた。

地獄の中に謙さんである。
「謙さん!」、僕は喜びのあまり叫んだ。
「クラウスじゃないか!」と謙さんが驚いた。
「どうして、こんな所まで来たんだ??」と謙さんは聞いた。
「とにかく金を貸してくれないか。」僕は言った。
「いいよ。」と謙さんは、懐から、立派な黒くて大きな札入れを取り出すと、
財布の中でお札を数えた後、銀色に光る100円玉を一枚差し出した。

え!100円だけ?と僕はあっけにとられた。
これでは、電話を1回かけられるだけじゃないか。
せめてもう100円欲しいと思いはしたが、謙さんの機嫌を損ねたくなかった。

「ありがとう。助かるよ。この100円で、できるだけのことをしてみるよ。」
と、少し嫌味を言いながら感謝をした。

僕は息子を連れてホテルの階段を下りた。
1Fに公衆電話があった。僕はすぐに家に電話をいれようと思った。
だけど、ここは一体どこなんだ?

公衆電話の横には厨房があった。
僕は、厨房を覗いた。中では沢山のおばちゃんたちが、
忙しげに、豪華な夕食の用意をしていた。
僕も息子も腹ペコだった。
僕に気づいたおばちゃんが、話しかけてきた。
「クラウスさんですね。大丈夫ですよ。
謙さんが、あなたたち2人の分の宿代も食事代も払ってくれています。
そして、よくしてやってくれと頼まれてますから。」
謙さんは、やっぱりいい奴だったんだ。謙さんの気持ちに胸が熱くなる。

僕は公衆電話に戻った。電話の横にカレンダーがかかっており、
そこに、新潟県○X市、△ホテル諏訪という名前と電話番号が書いてあった。
何で、新潟なのに諏訪なんだ?とちょっと不審に思いはしたが、
僕には、これがこの場所に間違いないと分かった。

僕は家に電話をした。100円しか無いので、かけ間違いはできない。
緊張しながら、電話番号をプッシュした。
電話が通じたが、しかし、話し中だった。
ガクッとした僕は、受話器を置き、電話を眺める。
そして、意を決して、再び受話器を上げた。
すると、不思議なことに、妻の声が聞こえた。
とたんに、安堵と信頼が目覚めた。
「クラウス?」
「そうだよ。子供も私も無事だ。渡辺謙に助けてもらい、彼と一緒にいる。
連絡先を言うから、メモしてくれ。いいかい?いくよ。
新潟県○X市、△ホテル諏訪・・・」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ここで、目が覚めた。
横で寝ていた妻が、目を開けており、僕を見つめていた。
「渡辺謙です。東京です。電話番号は03です。って、はっきり言ってたよ」と、
妻は笑って言った。
何かがねじれている。
僕の胸の鼓動はまだドクドクと音を立てていた。


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