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年末から新年にかけて [misc]

年末は、溜まっていた本や雑誌やビデオを色々読んだり観たりした。
ドイツの都市に爆弾を落としに行った若者達の苦悩を描いたロバート・ウェストールの『ブラッカムの爆撃機』と、ドイツの都市ドレスデンで空爆を被ったカート・ヴォネガット・ジュニアの『スローターハウス5』を並行して読んだので、どちらも深い心の傷を負ったことが良く分かった気になった。
『許されざる者』のクライマックスで尋常ならざる物を見てしまったという気がして、それ依頼ちょっと敬遠していたイーストウッドの『ミリオンダラー・ベィビー』をテレビでやっていたので録画していたので観た。とても楽しい女性のボクシング映画だなぁと観ていたが、観た人には分かるであろうあの瞬間から、私の知っている映画を超えた、尋常ならざる世界へ進んでいき、見事に打ちのめされてK.O.をくらってしまった。
『許されざる者』と同じく、鬼となって去っていく人間の崇高さと悲しみを感じた。

紅白歌合戦は、さだまさしが『案山子』を歌い終えた時に、
真剣に歌に聞き入るリリー・フランキーの顔がアップになった所が、僕的には見所だった。

元旦は『硫黄島からの手紙』を見に行った。1000円の日だったが、相変わらず1300円の前売り券で見た。(いつもこのパターンの様な気がする。。)
まだ、整理ができていないので、多くは書けないけど、真摯で、かなり良くできた映画だと思った。謙さんや二宮君をはじめ、日本人俳優は皆さん上手かったです。摺鉢山を背景に硫黄島の砂浜を杖を片手に歩く謙さん姿ののモノクロのポスターは、宮本武蔵や、座頭市といった日本の伝統的な精神を彷彿する。中村獅童は『新選組!』の捨助と同じような役周りだったのでちょっとニヤリとした。
『ミリオンダラー・ベィビー』のテーマを引き継いでいるかも知れない、自決のシーンの描き方は日本人的にはもっと美しさを求めてしまいちよっと目を背けたくなったが、戦争の本当の姿はこうしたものかも知れない。亡くなった方へのご冥福を祈ります。

昨日は、ちょっと時間があったので本屋の洋書のコーナーで、前から気になっていた
Rashomon and Seventeen Other Stories (Penguin Classics) の序論を
立ち読みした。Ryunosuke Akutagawa (著), Jay Rubin (翻訳) のこの本は、
序論を村上春樹さんが書かれている。もちろん英語で、そこそこ頁数があり、英語が得意でないのでかなり時間をかけて立ち読みした。あまり正確には読みとれて無いかもしれないけど、日本の近代文学の歴史を丁寧に説明するところから書いてあり、一つの作品といっても良いぐらい緻密で丁寧で愛情のこもった紹介だったと思う。
春樹さんか柴田先生、日本語に訳してくれないかなぁ。笑。

それで、芥川龍之介の作品もちょっと読んでみたくなっている。
そういえばPodcastの「ききみみ名作文庫」で、羅生門や鼻が配信されていて、
最近、聞いたばかりだった。この「ききみみ名作文庫」の宮沢賢治『なめとこ山の熊』 朗読:常田富士男というのはかなり良かった。
ついでに、最近出た本を色々眺めていたら、『文学全集を立ちあげる』(丸谷 才一 (著), 三浦 雅士 (著), 鹿島 茂 (著) )という本があったので、ぱらぱらっとめくった。
文学全集を作るとしたら、芥川は小説ではなくて短歌だか俳句だかを文学全集に入れた方が良い(小説は中島敦とだぶるから)ということになっていて、えっと思った。
だって、この本、芥川賞の文藝春秋から出ていたので。

Foresight(フォーサイト)という雑誌の11月号を読んでいたら、
池内恵さんの「法王発言とノーベル文学賞 異文化間の息詰まる交渉」という
記事が、とても面白かった。我々がお祭り騒ぎのように捕らえているノーベル文学賞も近年は政治的メッセージ色が濃いんですね。池内恵さんの本も要チェック。
なお、池内さんのお父さんは、カフカの紹介をされている池内紀さんなんですね。

今年も宜しく。

Rashomon and Seventeen Other Stories (Penguin Classics)

Rashomon and Seventeen Other Stories (Penguin Classics)

  • 作者: Ryunosuke Akutagawa
  • 出版社/メーカー: Penguin Books Ltd
  • 発売日: 2006/03/30
  • メディア: ペーパーバック

追記:芥川龍之介短篇集が出ましたね。日本語で序論が読めて良かった。

芥川龍之介短篇集

芥川龍之介短篇集

  • 作者: 芥川 龍之介
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2007/06
  • メディア: 単行本


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コメント 8

あけましておめでとうございます。
昨年は、大変お世話になり、ありがとうございました。
今年もよろしくお願いいたします。

『文学全集を立ちあげる』は、面白そうですね!
芥川の例は少し乱暴のような気がしますが、定番の作品が入っていない文学全集がでたら面白いでしょうね。
僕もどちらかというと芥川より中島敦のほうが好きかもしれません。
by (2007-01-04 21:32) 

miron

☆lapisさんへ、
こちらこそ、いつもお世話になっております。
昨年は、Lapisさんお勧めの本を何冊か読みました。
ポーの一族、ウは宇宙船のウ、クブキリサイクル等。
どれも大変面白かったです。
泉鏡花や、澁澤龍彦は、僕には未だ難しいですか、
いつかちゃんと読みたいと思います。
今年も宜しくお願い致します。
by miron (2007-01-05 17:13) 

papa007_

あけましておめでとうございます。
ことしもよろしくお願いいたします。

なかなか、ゆっくり映画を観たり読書をしたりという時間が
年々持てなくなってきました。うう
年末にTVでの放映を見逃した「Always三丁目の夕日」を借りてきて
見たり、深夜にやってた映画をちらりと見たりぐらいかなぁ。。
今年は、翌日を気にせずゆっくり自分の時間が持てるようにしたい!
と、思ったりします。
by papa007_ (2007-01-05 17:39) 

miron

☆papaさん、あけましておめでとう。
僕もAlways三丁目の夕日は、テレビでやっていたのを
録画して観たけど、むちゃくちゃ良かったです。
(小雪さんは素敵で、堀北真希は可愛かった。
なによりも、あの時代の景色が素晴らしい。)

僕もなかなか自分の時間が持てないのですが、
この正月は随分ゆっくりして、充電しました。
だけど、普段はなかなか難しいんですよね、自分の時間の確保って。
お互い、自分の時間の確保に頑張りましょう!
by miron (2007-01-05 19:53) 

こにゃ

明けましておめでとうございます^^
お正月はゆっくり出来たようですね☆

『ミリオンダラー・ベィビー』これはもう“痛い”作品でした!
視覚的にも精神的にも・・・こんなのばかりでしたっけ??イーストウッド作品て。
(『許されざる者』ストーリーよく覚えていないけどよかった、面白かったイメージがあるのですが・・・?!)

初夢はどんなだったのでしょう!クラウスさん!!
覚えていればぜひ教えてください♪
今年も宇宙系??(笑)の面白い話題楽しみにしていますね。
宜しくお願いします^^
by こにゃ (2007-01-06 22:22) 

Mercedes

あけましておめでとうございます。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。

「文学全集を立ちあげる」、とても面白そうですね。
私も読んでみたいと思います。

2007年がmironさんにとって昨年以上に充実した年になりますように!
by Mercedes (2007-01-07 09:01) 

miron

☆こにゃさん、明けましておめでとう。
『ミリオンダラー・ベィビー』を評して、“痛い”!まさに、そうでしたね。
この“痛さ”を静かに受け止めたい思います。
FREEDOMのCMは、正月から新しい回を放送していますね^^
日清食品の安藤百福さんが亡くなりましたが、彼の魂は宇宙から国境の無い地球を眺めいるかも知れませんね。
ネタは自転車操業なので、まぁ自分的に旬のネタを出していきます。
読んでくれている人がいるというのが大きな励みです。今年も宜しくお願いします。
クラウスは、泥酔していて初夢覚えていないそうです。。
by miron (2007-01-07 09:37) 

miron

☆Mercedesさん、
「文学全集を立ちあげる」は、本屋でぱらぱらめくっただけで読んでいないので、自信を持ってはお勧めできません。Rashomon and Seventeen Other Stories (Penguin Classics) のIntroductionは、はっきりとお勧めできると思うので、
良かったらいつかどこかで立ち読みして下さい。
>2007年がmironさんにとって昨年以上に充実した年になりますように!
お心遣いありがとうございます。今年は夏頃にちょっと大きな仕事がある予定なので、それに向けて精進したいと思います。
お互い頑張りましょう。
by miron (2007-01-07 09:48) 

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